2018年10月26日(金)

岩波ホール創立50周年記念作品 ジョージア(グルジア)映画祭 

2018年10月13日(土)~10月26日(金)

ジョージアの無声期から現代までの注目作を短編長編併せて19作品一挙上映。ジョージア映画の豊かさや魅力に開眼したリピーターも続出し、大盛況となった。

10月13日(土)~10月16日(火)

少年スサ

原題 Susa

ルスダン・ピルヴェリ監督/2010年/ジョージア語/76分/カラー

貧しい家族を支えるためにウオッカの密売を手伝う少年の日々を描く。過酷な社会状況のなかで彼の母や父への純粋な思いが、澄み切った美しい瞳をとおして痛烈に伝わってくる。閉塞した社会や理不尽な大人たちへの少年の無言の怒りが胸を打つ作品。

 

ダンサー

原題 Motsekvave

サロメヤ・バウエル監督/2014年/ジョージア語、ロシア語/35分/カラー

 

微笑んで

原題 Gaifhmet

ルスダン・チコニア監督/2012年/ジョージア語/92分/カラー

テレビショー〈ジョージアの母〉コンテストで、さまざまな境遇におかれた母親たちが、優勝賞金を得るために競い合う日々を描き、男性社会の俗悪さ、現代社会の空虚さが浮き彫りにされる。それぞれの女性が困難な人生を懸命に生きる姿が胸を打つ。

 

他人の家

原題 Shemtkhveviti paemnebi

ルスダン・グルルジゼ監督/2016年/ジョージア語/103分/カラー

アブハジア紛争の休戦後、戦争で家を失った家族が、山村の捨てられた家をあてがわれた。家には急いで避難した元の住人の痕跡が残っている。家族と隣に住む謎の女性たちとの交流をとおして、紛争が人々にもたらした禍根を幻想的な映像で描く作品。

 

デデの愛

原題 Dede

マリアム・ハチヴァニ監督/2016年/スヴァン語、ジョージア語/97分/カラー

1992年、コーカサスの峻険な山々に囲まれた村で、デデの挙式が行われようとしていた。しかし彼女は夫となる男の親友と愛しあっていた。村の定めた結婚に抗い、彼女は愛を貫くことを決心する。雄大な自然のなか、因習と闘う女性を描く感動の物語。

 

10月17日(水)~10月20日(土)

私のお祖母さん

原題 Chemi Bebia

コンスタンティネ・ミカベリゼ監督/1929年/サイレント/61分/白黒

無声映画時代の伝説的作品。一人の役人が失職し、再就職しようとする顛末をとおして官僚主義を痛烈に批判する。アニメーションを斬新に使い、ソ連体制下、アヴァンギャルドでアナーキーな力に満ちた内容のため、ジョージアで初めて公開禁止になった作品。

 

スヴァネティの塩

原題 Jim Shavante

ミヘイル・カラトジシュヴィリ監督/1930年/サイレント/44分/白黒

無声映画時代を代表するドキュメンタリー。コーカサスのスヴァネティ地方、過酷な自然環境のなかで生きる人々の姿が四季を通じて映し出される。岩山での重労働、争い、貧富の差、出産等が描かれ、ブニュエルの「糧なき土地」に先んじる名作と評価される。

 

ケトとコテ

原題 Keto da Kote

ヴァフタング・タブリアシュヴィリ監督、シャルヴァ・ゲデヴァニシュヴィリ監督/1948年/ジョージア語/90分/白黒

終戦直後に作られたジョージア初の絢爛豪華なミュージカル映画の傑作。1860年代、ロシア帝政下のチフリスを舞台に、純真なケトと歌が好きなコテが、困難を乗り越えて結婚を成就させるまでを描く。明るく大らか、当時の風物満載で今も人々に愛される作品。

 

大いなる緑の谷

原題 Didi mtsvane veli

メラブ・ココチャシュヴィリ監督/1967年/ジョージア語/87分/カラー

広大な草原を舞台に、伝統を重んじて生きる牛飼いが、近代化の時代の波に歩み寄ることができず、家族とともに苦悩する姿を描く。映像など全てが高く評価され、特に農夫役ダヴィト・アバシゼの全身で時代に体当たりするような演技が印象的な不朽の名作。

 

少女デドゥナ

原題 Deduna

ダヴィト・ジャネリゼ監督/1985年/ジョージア語/87分/カラー

デドゥナとは「母の愛する娘」の意味。母を亡くし、山間の村で父と暮らす少女の質朴な日々の生活を静謐な映像のなかに映し出す。世界でプリントがドイツに1本あるだけの伝説的な作品。ジャネリゼ監督提供の劣化した作品素材をDCP化して特別上映。

 

メイダン 世界のへそ

原題 Meidani-Samkaros chipi

ダヴィト・ジャネリゼ監督/2004年/ジョージア語、アルメニア語、ほか/52分/カラー

今日の再開発で失われたトビリシ中心にあった多民族のコミュニティーを描く。

 

10月23日(火)~10月25日(木)

ヒブラ村

原題 Khibula

ギオルギ・オヴァシュヴィリ監督/2017年/ジョージア語、ロシア語/99分/カラー

1991年、圧倒的な支持で初代大統領となったガムサフルディアは、反対派との内戦後、チェチェンに亡命、1993年に蜂起して失敗する。彼の雪深い山中の逃避行をとおして、この国を揺るがした事件を人々に再び喚起し、権力者と民衆の関係を静謐な映像で描く。

 

告白

原題 Aghsareba

ザザ・ウルシャゼ監督/2017年/ジョージア語/89分/カラー

カヘティ地方の田舎の教会に赴任した司祭が、村人たちの意識を高めようとチャップリンやマリリン・モンローの映画上映会を企画する。ある日、村でモンローにそっくりの女性と出会ったことから思いがけない騒動に巻き込まれてゆく。ほろ苦いコメディー。

 

陽の当たる町

原題 Mzis kalaki

ラティ・オネリ監督/2017年/ジョージア語/103分/カラー

西ジョージアのチアトゥラ。ソ連時代は鉱山で大いに栄え、後にアメリカの億万長者が理想の町を作ろうと大改造を試みたが、現在はゴーストタウンのようになっている。寂れた町に居残る音楽教師、劇団員たちの生活や夢を描いた傑作ドキュメンタリー。

 

ブラインド・デート

原題 Shemtkhveviti paemnebi

レヴァン・コグアシュヴィリ監督/2013年/ジョージア語/98分/カラー

40歳の独身教師の男が主人公。彼は両親から結婚をせかされている。ある日、彼は生徒の母親に好意をもつが、彼女には服役中の夫がいた。その夫は出所するとさっそく詐欺を働き、主人公も騒動に巻き込まれてゆく。現代ジョージアのヒューマンコメディ。

 

10月21日(日)、22日(月)、26日(金)

あぶない母さん

原題 Sashishi Deda

アナ・ウルシャゼ監督/2017年/ジョージア語/105分/カラー

ごく普通の家庭の主婦マナナは表現することへの情熱を抑えられず、家族に内緒で小説を書いていた。家族が知って戸惑うなか、母は身も心も小説に捧げてゆく。そしてしだいに明かされてゆく彼女の過去。弱冠27歳の第1作で世界の注目を集めた話題作。

 

10月21日(日)、22日(月)

《ピロスマニ没後 100 年追悼上映》 放浪の画家 ピロスマニ

原題 Pirosmani

ギオルギ・シェンゲラヤ監督/1969年/ジョージア語、ロシア語/87分/カラー

ジョージアの独学の天才画家ニコ・ピロスマニ(1862~1918)は、トビリシで日々のパンや酒と引き換えに、店に飾る絵や看板を描き続け、孤独のうちに亡くなった。彼の後半生を崇敬の思いをこめて描き、ジョージア人の民族の心を映像化した作品。

 

偶数日の11:00の回のみ

映像

原題 Anarekli

ギオルギ・ムレヴリイシュヴィリ監督/2010年/ジョージア語/11分/カラー

 

奇数日の11:00の回のみ

西暦2015年

原題 A.D.2015

ハトゥナ・フンダゼ監督/2015年/ジョージア語/10分/カラー

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