本日は、フランス・ドイツ・ベルギー合作映画「マルクス・エンゲルス」の初日に大勢お越しくださいまして、本当にありがとうございます。岩波ホールの岩波律子でございます。
お蔭様で岩波ホールは今年、創立50周年を迎えまして、本作が第3弾でございます。そしてまた、5月5日はマルクス生誕200年にあたりますので、この時期に上映できて本当に良かったと思います。
この作品は、1840年代、20代だったマルクスとエンゲルスが、1848年に「共産党宣言」を書き発表するまでの約10年を描いております。友情と闘い、また妻たちの強い支えについても描かれております。二人とも裕福な家庭に育っており、マルクスは貴族の娘と結婚しましたが、やがて貧しい生活に大変苦しみます。エンゲルスは工場経営者の息子でありますが、その労働者の女性とパートナーになり、この二人の支えで、マルクスとエンゲルスは安楽な生活を捨てて、世界を変革しようと闘い抜きました。
監督は、ハイチ出身の方で、ラウル・ペック監督です。彼は、ハイチの文化大臣の職にもつき、現在は、フランスの国立映画学校(FEMIS)の学長です。社会のゆがみや差別を告発するような映画を多く作っておりまして、最近では「私はあなたのニグロではない」が5月12日から公開予定となっております。
監督によれば、「マルクス・エンゲルス」は西欧ではマルクスを描いた初の長編映画だそうです。
脚本は、マルクスやその夫人のイェニー、それからエンゲルスたちの手紙を中心に作り上げたそうです。そして、現代の若者たちに見てもらいたいと上映後にトークをしたりして、大変評判が良いそうです。
現在は、世界の分断ですとか、経済格差ですとか、秩序の崩壊などで非常に混乱しておりますけれども、この映画や彼らの著作が、現代の私たちの状況を考えるのに、必ずや役に立つことと思います。
著作としては「共産党宣言」をはじめ関連書籍、パンフレットもロビーでお売りしております。5月5日には、このビルの隣の神保町ブックセンターで堀潤さんのトークがございます。5月21日の夕方には佐藤優さんのトークもここで行います。
最後になりましたが、この素晴らしい映画を上映する機会をご提供下さいました配給会社ハークの皆さまに、心より御礼申し上げます。皆さまどうぞごゆっくりご覧ください。本日はありがとうございました。