ごあいさつ ウニー・ルコント監督作品「めぐりあう日」
2016年07月30日(土)

ごあいさつ ウニー・ルコント監督作品「めぐりあう日」

支配人挨拶

めぐりあう日 初日(7月30日)

本日は、ウニー・ルコント監督作品「めぐりあう日」の初日にお越し下さり、有難うございます。

私どもでは、6年前にウニー監督の第1作「冬の小鳥」をご紹介して、たいへんご好評を頂きましたが、ご覧になった方はいらっしゃることでしょう。これは、孤児となった少女が、児童養護施設から旅立って、フランスに養子に行くという物語でした。この作品はある意味で監督の人生を反映したものでした。

そして、この「めぐりあう日」は監督の2作目に当たります。今回は、結婚して子供もいる女性エリザが主人公です。生みの親を知らない彼女が、実の母を捜すために自分の生まれた土地、ダンケルクに息子を連れて移り住んでいます。そして出会った、母親と思われる人との心の交流、行き違い、信頼回復までの長い道のりを描いています。

映画の最後にアンドレ・ブルトンの著作「狂気の愛」の最終章に書かれた「あなたが狂おしいほどに愛されることを、私は願っている」という手紙が朗読されます。この言葉は、実際には映画の原題としても使われております。

ウニー監督は、人は孤児となったときに、同時に言葉の孤児となる。それは、自分を導き、人生に意味を与えてくれるような親の言葉をもっていない、ということです、と語っていらっしゃいます。そんな彼女が出会ったのがアンドレ・ブルトンのこの言葉でした。そして、この言葉が、人生の折節に彼女を支えてくれたのだそうです。

私どもは、ウニー監督のさらに深みを増した、この作品を皆様にご紹介できてうれしく存じます。このところ、期せずして、岩波ホールの上映作品に女性監督の映画が多くなっておりますことも、世界の女性映画人たちの活躍を示していているものだと思います。もし、この作品がお気に召しましたら、ご家族、ご友人の方々にお勧めいただければ幸いです。

最後になりましたが、この作品を上映する機会をご提供下さいました、クレストインターナショナル、朝日新聞社の皆様に心よりお礼申し上げます。

支配人 岩波律子

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