「祈り三部作」初日支配人挨拶
2018年08月13日(月)

「祈り三部作」初日支配人挨拶

支配人挨拶

ジョージア(グルジア)の巨匠テンギズ・アブラゼによる「祈り三部作」の初日に大勢お越し下さり、有難うございます。

岩波ホールでの初めてのジョージア映画は、1978年上映の「放浪の画家 ピロスマニ」ですが、それ以降、この三部作の「祈り」を入れると今までに13本上映いたしました。

ホール50周年に当たる今年はまた、ジョージア・イヤーとも言うべき年になりました。今年の初めに「花咲くころ」、そして「祈り三部作」、さらに10月のジョージア映画祭では約20本を取り上げ、12月には「葡萄畑に帰ろう」を準備しております。

お相撲の栃ノ心のお蔭で、ジョージアという国名が日本の皆さまの間にも大きく広まりました。初日に来ていただけないか、という打診をしていたのですが、ご関心はお持ちだけれど、本場所の他にも地方巡業があるので、難しいということでした。

「希望の樹」と「懺悔」はすでに91年と08年に上映しておりますが「祈り」を含む三本の一挙上映は世界でも初の試みだといわれております。1967年製作の「祈り」は、19世紀の作家プシャヴェラによる叙事詩で、モノクロームの荘厳な映像で描かれています。

この作品は宗教の対立を、「希望の樹」(76)は因習を、「懺悔」(84)は独裁者に苦しむ人々を描いておりますが、その根底には寛容性、愛、自由への深い祈りが込められています。

現代は、すべてが便利になり、映画もデジタル化によって昔より作るのがやさしくなりました。しかし、その一方で魂の底から湧いてくる思いを感じさせるアブラゼ監督のような作品は少なくなっているのが現状です。1967年から84年まで、旧ソ連の不自由な状況のもとで作られた三部作ですが、どれもジョージアの村や町を舞台にしており、監督は「映画が民族的であるほど、より普遍的なものになる」と語っています。

この暑い中、3本通してご覧になる方々のご忍耐と熱意に敬意を表しつつ、またこれが夏の良い思い出になりますよう願っております。

なお、ロビーにて「グルジア映画への旅」や「祈り」の翻訳本もお売りしておりますので、この機会に是非ご利用くださいませ。

最後になりましたが、この格調高い「祈り三部作」を上映する機会をご提供くださいました、ザジフィルムズの皆さまに心よりお礼申し上げます。

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