本日は、インド映画「ガンジスに還る」の初日に、このように大勢お越しくださいまして誠にありがとうございます。岩波ホールの岩波律子でございます。
お陰様で岩波ホールは今年50周年を迎えました。埋もれた映画をご紹介するというエキプ・ド・シネマの活動は1974年にスタートしております。最初は、インド映画の巨匠サタジット・レイ監督による「大地のうた」三部作からスタートいたしました。その後、約20年にわたって、14本のサタジット・レイ監督作品とそのほか1本のインド映画を上映してまいりました。ところが、それ以後インド映画とご縁がありませんでした。ようやく私どもの節目の年に、新しいインド映画、それも撮影当時は25歳だったというシュバシシュ・ブティアニ監督の作品をご紹介できる運びとなり嬉しく思っております。
この作品は、おじいさんがガンジス河のほとりの聖地バラナシにある「解脱の家」に行きたいと言い出したところから始まります。監督がインドを再発見したいという思いから、何か月も旅をされて、バラナシに「死」を迎えるための家があるということで、そこを訪れました。そして「解脱の家」の関係者に話を聞いたところ、なぜか辛い話ではなく、笑ってしまうエピソードがたくさんあったそうで、それがきっかけで、この作品作りが始まったそうです。
この映画では、おじいさんと息子夫婦、子どもとの家族三世代の関係が描かれています。特に仕事人間である忙しい息子と、おじいさんの関係が中心となっています。私ども岩波ホールでは、老いや死を取り上げた作品を色々上映しておりますが、この作品は長い歴史あるインドの奥深い思想を描いていて、色々と考えさせられる作品でございます。皆さまにとってもこの作品が心の栄養となり、心の安らぎを与えてくれるますよう願っております。
この素晴らしい作品をご提供くださいました配給会社ビターズ・エンドの皆さまに御礼を申し上げます。本日はありがとうございました。