「葡萄畑に帰ろう」初日支配人挨拶
2018年12月15日(土)

「葡萄畑に帰ろう」初日支配人挨拶

支配人挨拶

本日はジョージア映画「葡萄畑に帰ろう」の初日にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。岩波ホールの岩波律子でございます。お陰様で今年は岩波ホール50周年を迎え、優れた作品にも恵まれました。今回の「葡萄畑に帰ろう」が50周年の最後を飾ります。

今年はジョージアイヤーと言っていいくらい作品が多くありました。今年の前半は「花咲くころ」、そして夏には「祈り 三部作」、秋には「ジョージア映画祭」というように、たくさんご紹介いたしました。

本作のエルダル・シェンゲラヤ監督は、「放浪の画家 ピロスマニ」のギオルギ・シェンゲラヤ監督のお兄さんで、岩波ホールでは1995年の「グルジア映画特集」で「青い山―本当らしくない本当の話」をご紹介いたしました。これは、社会主義の役人たちの愚かさを痛烈に笑い飛ばす大変面白い作品だったのですが、この時期はちょうどサリン事件の直後で、お客様が外出を控えられたため、たくさんの方にはご覧いただけませんでした。

エルダル監督は、大変人望のある方で、ジョージアで36年間、映画人同盟の代表を務められました。1991年にジョージアがソ連から離脱した後には、政界からも求められて活躍されましたが、2006年に娘さんを亡くして以来、政治家はお辞めになり、この映画は21年ぶりの新作でございます。政界での経験が盛り込まれ、政界をたいへん皮肉っています。この映画の中では、ジョージアの国内避難民の話が出てきますが、アブハジア紛争や南オセチアをめぐるロシアとの戦争などで、うまれた難民の方々です。

ジョージアはワインの歴史が8000年という非常に古い歴史を持っているところで、この作品では、その美しい風土も垣間見ることができます。この映画を観たジョージアの映画人が、「とうとうジョージアにユーモアと寓話が帰ってきた!」と喜んだそうです。皆さまも肩の力を抜いて、映画をゆっくりと楽しんでいただければと思います。

最後になりましたが、この素晴らしい映画をご提供くださいましたクレストインターナショナルとムヴィオラの皆さまに御礼申し上げます。

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