「ニューヨーク公共図書館」初日支配人挨拶
2019年05月20日(月)

「ニューヨーク公共図書館」初日支配人挨拶

支配人挨拶

フレデリック・ワイズマンによる「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」の初日に、このように大勢お越しくださいまして、本当にありがとうございます。岩波ホールの岩波律子でございます。わたくしどものエキプ・ド・シネマは“映画の仲間”という意味ですが、45周年記念のこの年に、このドキュメンタリーを上映することができ、大変嬉しく思います。

この長編の作品をご覧になると、この図書館が世界で最も有名な図書館であるという理由がお分かりいただけると思います。ワイズマン監督によれば、この文化施設が重要である理由は、あらゆる分野のコレクションの豊かさにあります。そして本館を含む92の図書館は、従来の業務のほか、ビジネス、コンピュータプログラミング、外国語、放課後の教育プログラムや成人教育などを提供する、コミュニティセンターにもなっております。ここではあらゆる人種、民族、社会階級に属する人々が積極的に、活動に参加しているのです。

今回この映画のキャンペーンのために、ニューヨーク公共図書館渉外担当役員であるキャリー・ウェルチさんという女性が来日されました。いかにもアメリカの働く女性という感じの聡明でパワフルで素敵な方でした。彼女が言うには、「公共」という言葉は、「公立」と違い、図書館の年間の予算はニューヨーク市から半分、残りの半分は民間からの支援で成り立っているそうです。そして今のニューヨークでは、一銭も払わずに安心して過ごせる場所は、図書館くらいしかないということでした。わたくし個人としても、図書館の幹部たちの会議の、自由な意見交換に感銘を受けました。また、今日のアメリカに関するニュースにはうれしくない話も多いのですが、この作品を見て、アメリカが育ててきた民主主義の良さとは何かを考えさせられました。この作品が日本の文化を少しでも活性化させられれば、わたくしどもスタッフにとって本当にうれしいことでございます。

なおロビーにて「未来をつくる図書館 ニューヨークからの報告」という菅谷明子さんのロングセラーの本や、ニューヨーク公共図書館のグッズなども販売しておりますのでどうぞご利用ください。最後になりましたが、配給のミモザフィルムズ、ムヴィオラ、そして協賛の皆さまにも心より御礼申し上げます。それではどうぞごゆっくりご覧下さいませ。本日はありがとうございました。

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