本日は、ジョージア映画「聖なる泉の少女」の初日にお越しくださいまして、ありがとうございます。岩波ホールの岩波律子でございます。
私どもでは、ずいぶん前からジョージア映画に注目してまいりましたが、昨年10月に行いましたジョージア映画祭では新旧の作品19本をご紹介して、大変話題となりました。今回の作品は、2年前の東京国際映画祭で取り上げられたものです。
監督のザザ・ハルヴァシさんは、トビリシの映画演劇大学で巨匠テンギズ・アブラゼ監督などのもとで学びました。アブラゼ監督は、昨年上映した「祈り 三部作」を作った監督でございます。
さて、ハルヴァシ監督は、ある雪の降った早朝に、薄暗い銀色の世界を眺めていました。その時、雪がおちた音さえも聞こえる静けさに打たれ、この絶対の静寂を映像で表現できないものかと考えたのが、この映画作りの始まりだったと語っています。
そして、ジョージアの南西部、アチャラ地方の小さな村を舞台に、この地方で昔から口承で伝わってきた物語をもとにしています。そこには聖なる泉があり、先祖代々、泉を守り、水による治療を司ってきた家族の話が語られています。そして、自然と人の霊的な交感を描き、今日の物質文明に対して問いを投げかけております。
振り返って、日本の各地もさまざまな伝説が残っておりますので、みなさまもこの作品の味わいを、しっかりと受け止めてくださることと存じます。
最後になりましたが、この素晴らしい作品を上映する機会をご提供くださいました配給会社パンドラの皆さまに心より御礼申し上げます。