本日は、スウェーデン・デンマーク映画「リンドグレーン」の初日に大勢お越し下さり、有難うございます。岩波ホールの岩波律子でございます。
私どもでは初期の頃はスウェーデン映画といえば、イングマール・ベルイマンの作品を何本もご紹介いたしましたが、最近では久しぶりのご紹介になります。
今回は世界的にも有名で、100カ国以上で翻訳されているという、アストリッド・リンドグレーンの物語です。皆様も、「長くつ下のピッピ」や「ロッタちゃん」のお話などで、よくご存知と思います。リンドグレーン作品が初めて日本で紹介されたのが、恐らく1960年代の岩波少年文庫の「カッレ君」シリーズだと思います。小学生だった私も夢中で読んでおりました。
しかし、この作品はリンドグレーンが作家になる前の若い時代、子ども時代の楽しかったこと、若いうちから働き始めたこと、そして自分の子どものことでたいへんな苦労をしたことが、描かれています。それがのちの作家活動に大きな影響をあたえました。また、作家としての仕事のほか、編集者としても働き、70歳くらいからは動物愛護や、子どもの体罰禁止を訴え始めました。なんと、スウェーデンの20クローナ紙幣のデザインはリンドグレーンになっているそうです。私たちはこのリンドグレーンの苦しい時代をあまり知りませんが、スウェーデンではよく知られているそうです。
監督のペアニレ・フィシャー・クリステンセンはデンマーク出身で、彼女は自分の人生に多大な影響を与えたリンドグレーンの物語を作りたかったということでございます。
主役のアストリッドを演じるアルバ・アウグストはデンマークの映画監督ビレ・アウグストの娘さんでございます。ほかの家族を演じる俳優さんたちも、それぞれ非常に納得の行く、味わいのあるメンバーが揃っております。
最後になりましたが、この素晴らしい作品をご紹介できますことを、大変嬉しく存じます。この映画を上映する機会をご提供くださいました配給会社ミモザフィルムズの皆様に心よりお礼申し上げます。