『巡礼の約束』支配人あいさつ
2020年02月17日(月)

『巡礼の約束』支配人あいさつ

支配人挨拶

本日は、中国映画で、チベット人監督ソンタルジャさんによる「巡礼の約束」の初日に大勢お越し下さり、有難うございます。岩波ホールの岩波律子でございます。

私どもでは、同監督の「草原の河」という作品を2017年に岩波ホールで上映しております。今回は非常に高名なチベットの歌手であり、チベットの文化を世界に広めたいと活動していらっしゃる、ヨンジョンジャさんの企画になる作品です。彼が、監督にこの企画を持ち込んだところ、結局あなたが主演をしてくださいということで、説得されて主役を務めました。

このお話は亡くなった夫と交わした約束を守るために、妻が聖地ラサに巡礼に出るというお話でございます。チベットでは約束を口にしたら、必ず守らなければならないという厳しい心構えがあるそうです。ラサへの巡礼は、チベットの人にとっては一生に一度果たしたい夢でありまして、約2000キロを半年から1年前後かけて行くそうです。特に五体投地の方もまだいらっしゃるそうです。日本でいいますとかつての伊勢参りですとか、現在でも行われている四国遍路が思い起こされます。

来日された監督は、プロダクションを持っておられ、自分の作品の他に、若い監督を育てるのにも忙しくしています。また主演の歌手のヨンジョンジャ氏は、世界的に有名な歌手ですが、礼儀正しい、やさしい紳士でいらっしゃいます。求められればすぐに歌も歌ってくれる、非常に気さくな気取らない方です。彼のお話を伺って、この映画を観ても、チベットの人々の暮らしには深く仏教文化が根付いていることが感じられます。

ソンタルジャ監督の映画は非常に説明の少ない作品で、山深いところでの夫婦とか親子の関係、そしてそこにロバまで参加してくるというような、ある意味できわめて東洋的な思想が映し出されているような気がします。

監督によると、中国でこの映画を観た方々が、「普段は映画が済むとすぐに席を立ってしまうが、この映画は席を立つことができない」という感想だったそうです。このように皆さんもじっくり映画を味わっていただければと思っております。

尚ロビーにてチベット関係の展示ですとか、ちょっとした民芸品なども販売しておりますので、どうぞご利用くださいませ。

最後になりましたが、このような心に染み入る映画を、私どもにご提供くださいました松尾みゆきさん、そして配給会社ムヴィオラの皆様に心よりお礼申し上げます。

関連記事

トピックス一覧へ

Iwanami Hall
公式Twitter