「シリアにて」初日支配人あいさつ
2020年08月22日(土)

「シリアにて」初日支配人あいさつ

支配人挨拶

本日は、『シリアにて』の初日に大勢お越しくださいまして、ありがとうございます。

2月末に、早々と休館しまして、6月中旬より「岩波ホールセレクション」として、名作を上映しておりました。ちょうどこの映画の直前は、中東の有名な女優でヒアム・アッバスさんの特集で『パラダイス・ナウ』『ガザの美容室』を上映しておりました。ご関心のある方には、良い機会だったと思います。

岩波ホールは、これまで61か国の作品を上映してきました。この『シリアにて』は合作で、新たにレバノンが増えまして、上映国数が62か国となりました。監督は、ベルギーのフィリップ・ヴァン・レウさんで、この作品では戦地シリアの家族の一日を描いております。

実は、私は学生の頃にフランスにいたことがあり、色々な国の方とお会いしたのですが、シリアというのは、アラビア語もきれいだし、とても文化レベルの高い国だと聞き、一度は行きたいなと思っておりました。ですが、戦争が10年目に入り、世の中もすっかり変わってしまいました。

監督によれば、これは「戦争映画ではなく、戦争についての映画」だそうです。ご覧になると、戦闘シーンは入れずに、音で爆発や銃声などで綴ってあります。暴力はスクリーンにはほとんどあらわれませんので、安心してご覧ください。

先日、テレビで放送されていましたが、時代的に、こんなに世界各地で紛争が増えた時代はないと言っていました。世界地図が出てきて、アフリカや中東やあちこちに印がついており、なんという時代だろうと思っています。

ちょうどこの8月は、日本が戦後75年で、テレビで様々な特集をしておりました。皆さんもご覧になったことと思いますが、当時の体験をした方や、事実を知った子どもたちが、「戦争はしてはいけない」「平和は大切だ」とコメントを述べています。しかし、岩波ホールで上映しました戦争三部作の黒木和雄監督が—だいぶ前に亡くなられましたが、「今は戦後ではなく、戦前のようだ」とよく仰っていました。戦争はしてはならない、平和は大切だという言葉ですが、人々が、そのためには「何をしていきたい」というもう一言があると良いなと思った次第です。これは、本当に立派に、困難な状況の中で闘った家族と主婦と隣人のお話です。また、この作品から何か感じとっていただければ嬉しいです。

この立派な作品を上映する機会をくださった配給会社ブロードウェイの皆さま、宣伝の皆さんに感謝申し上げます。それではどうぞごゆっくりご覧くださいませ。本日はありがとうございました。

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