本日は映画『シリアにて』の最終日の最終回にお越しくださり、本当にありがとうございます。岩波ホールの岩波律子でございます。
普段は、最終日はご挨拶しないのですけれども、明日から改修工事に入り、4か月ほどお休みをいただきますので、その前に皆さまにご挨拶をしたいと思いました。
私どもは、2月末くらいからはやばや休館をし、6月半ばより「岩波ホールセレクション」として昔の名作を上映しておりました。『シリアにて』は、今年最後のロードショー作品です。コロナウイルス対応で、席の間隔も開けていましたが、皆さんに勇気を持ってお出でいただいて恐れ入ります。
この『シリアにて』も、ハラハラしてこわいのですけれども、シリアのドキュメンタリーで『娘は戦場で生まれた』という作品をご覧になった方もいらっしゃると思いますが、目をそむけたくなるような辛さでした。そのときに思い浮かべましたのは、この『シリアにて』の主人公である母親の毅然とした姿でした。この時に、ドキュメンタリーだけが真実を映し出すのではなく、丹念に作り上げられた劇映画も、ある種の真実を私たちの前に差し出してくれるのだなと、改めて実感いたしました。
さて、今年前半の映画は、みな来年にまわさせていただきまして、映画会社の方々にもご迷惑をおかけしたのですが、来年第一弾は、『モルエラニの霧の中』という日本映画です。坪川拓史監督による、今までに見たことのないような日本映画です。本当にマイペースな、やりたいことだけを、自分の信じたものだけを描いた作品です。
そのあとが、「映画で見る現代チベット」です。『巡礼の約束』を途中で中止してしまったものですから、そのほかの現代のチベット映画も集めて上映いたします。それから、はじめてブータンの映画も上映します。この『ブータン 山の教室』も、本当に貴重な作品です。
どの映画も、私たちが本当に楽しみにしていたものですが、古くなるものではありませんので、来年ぜひご覧いただきたいと思います。改修後は、椅子の数も少し減らしまして、見やすいようにできあがると思います。来年のコロナの状況がどうなっているかわかりませんが、私どもも頑張りますので、皆さんも辛抱強く、今後とも応援していただければと思います。本日はどうもありがとうございました。