支配人のコラム <女性監督について>
2020年12月11日(金)

支配人のコラム <女性監督について>

支配人挨拶

支配人のコラム <女性監督について>

先月までは、“エキプ・ド・シネマ”がスタートする前の多目的ホールとしての活動をご紹介致しました。今回は、エキプでご紹介した日本の女性監督について書くことにします。

1974年にスタートしてから2020年までに、7名の女性監督の作品を上映しました。時代順にたどると、宮城まり子さん4本(「ねむの木の詩」)、羽田澄子さん14本(「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」)、栗崎碧さん1本(「曽根崎心中」)、藤原智子さん2本(「伝説の舞姫 崔承喜他」)、槙坪夛鶴子さん1本(「老親」)、せんぼんよしこさん1本(「赤い鯨と白い蛇」)、中みね子さん1本(「ゆずり葉の頃」)で7名になりますが、羽田監督作品を一番多く公開しております。

このうち、宮城さん、栗崎さん、槙坪さん、藤原さんは故人となられました。宮城さんは、ねむの木学園の子供たちを愛と学びで包み、その努力と成長を描きました。子どもたちは歌を歌い、絵をかき、運動会をし、次第に成長して大人になってゆきました。宮城さんのお蔭でどれだけの人々が力づけられたでしょう。そして、大人になってからも学園にいられるような形に移行していったのです。彼女の超人的な努力で活動は花開いてゆきました。

羽田さんは旧岩波映画製作所出身の優秀な監督さんのひとりで、独立してから多様なドキュメンタリーを製作しました。エキプ以前にも作品をご紹介しましたが、この頃は、なぜかドキュメンタリーは無料上映が主流だったのですが、髙野総支配人が断固主張して入場料を設定したのを、大変驚いておられました。現在ではそれが普通になっています。

そして、1982年に岩手県の早池峰神楽を取り上げた「早池峰の賦」を公開した時には、大ヒットとなりました。そして、第1回国際女性映画週間(後の、東京国際女性映画祭)でジャンヌ・モローさんらに好評を得た「AKIKO―あるダンサーの肖像―」。老いの問題三部作ともいうべき、「痴呆性老人の世界」「安心して老いるために」「終りよければすべてよし」によって、観客の方々と私たちスタッフは、どれほどこの問題を学んだことでしょう。そして「元始、女性は太陽であった―平塚らいてうの生涯」、羽田さんの生まれた旧満州をテーマにした「嗚呼 満蒙開拓団」など。頼りになる夫でプロデューサーの工藤充さんと組んで仕事をし、普段は、さりげない、おっとりした様子で岩波ホールにも、よく映画を見に来られています。

せんぼんよしこさんは、長くテレビ界で仕事をされ、映画デビューは最高齢に近い方です。次に生まれるときは、男性に生まれたいというくらい、女性であることで苦労されたそうです。「赤い鯨と白い蛇」は、海辺の町での5世代の女性たちの出会いを描きます。そして、中みね子さんは岡本喜八監督の夫人、プロデューサーであり、初めて「ゆずり葉の頃」という、八千草薫さん主演の心温まる作品を発表され、上映中毎日、劇場に来られてお客様と交流されました。

髙野総支配人は女性監督の活躍を応援していましたが、今や女性監督とわざわざ言わなくてもよい時代になってきたようです。今後も、女性たちの“監督として”の幅広い活躍を期待しております。

*このコラムは、第2、第4金曜日に掲載いたします。次回は12月25日の予定です。

*写真は、羽田澄子監督作品「早池峰の賦」(1982年)の場面写真です。

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