「ユダヤ人の私」支配人あいさつ
2021年11月20日(土)

「ユダヤ人の私」支配人あいさつ

支配人挨拶

本日はオーストリア映画「ユダヤ人の私」の初日にお越し下さいまして、誠に有難うございます。岩波ホールの岩波律子でございます。

この作品は、クリスティアン・クレーネス監督、フロリアン・ヴァイゲンザマー監督らによる“ホロコースト証言シリーズ”の第二弾でございます。

第一弾は岩波ホールで2018年に上映した「ゲッベルスと私」でございます。これはかつて、ゲッベルスの秘書をつとめ、103歳まで生きたブルンヒルデ・ポムゼルさんの語りでした。彼女の口が、多少重い感じがしたのは、それまでに、この件で話をしたことがなかったからだということです。

今回は106歳まで生き抜いた、ユダヤ人のマルコ・ファインゴルト氏の証言でございます。彼は、アウシュヴィッツ、ノイエンガンメなど4つの強制収容所を奇跡的に生き延びました。そして、終戦後は自らの体験を70年以上にわたり語り続けました。というわけで、語り口は多少なめらかになっていらっしゃるようです。

また、彼は戦後10万人以上のユダヤ難民をパレスチナへと逃がし、ナチスの罪と、それに加担したオーストリアの責任を訴え続けて、2019年に亡くなりました。現在、ザルツブルクの川にかかる橋に、マルコ・ファインゴルト橋という名がつけられています。

この作品の監督たちは、歴史を過ぎ去ったこととしてみるのではなく、現在の出来事に置き換え、過去を見直すことが必要だと述べています。そして第三弾の企画も用意されています。

私どもは過去を見直すことは、ヨーロッパだけでなくもちろん、日本の現実にも当てはまることだと痛感いたします。

なお、「ゲッベルスと私」は毎週日曜、15時半の回でアンコール上映いたしますので、お見逃しの方はぜひご覧ください。

最後になりましたが、この貴重な作品を、使命感をもって提供してくださいましたサニーフィルムに心よりお礼申し上げます。

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